画像引用元:「グリーンブック」公式サイト
1962年アメリカを舞台にしたロードムービー。実話をもとに作られており、日本では2019年に公開されました。主演は映画「ロード・オブ・ザ・リング」でアラゴルン役を演じたことで知られているヴィゴ・モーテンセンです。
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「グリーンブック」のあらすじ
画像引用元:「グリーンブック」公式サイト
一流のナイトクラブで用心棒として働いていたトニー。職場のクラブが改装に入ることになり、彼はしばらく無職になることに…。
そんな時、知り合いが医者の運転手の仕事を紹介してくれました。
トニーは言われた通りに仕事の面接に向かうのですが…。彼を待っていたのは、医者ではなくピアニストの黒人男性ドクター・ドナルド・シャーリー(ドク)でした。
ドクはトニーに、一緒に2か月近くコンサートツアーで各地をまわり、マネージャー兼用心棒として身を守ってほしいというのです。
しかも、コンサートで向かう土地には、黒人への風当たりが厳しい南部地方も含まれていました。
トニーは、気が進まずこの仕事を一度は断ります。
しかし、ドクはやはり仕事を頼みたいと家に電話を掛けてきたのです。ドクは、トニーの妻・ドロレスと電話で話をして…結局、トニーは仕事を受けることになりました。
フランクながら少々下品なところのあるトニー、品行方正で真面目なドク…共通点もなく、性格も真逆な2人の長い旅が始まります。
「グリーンブック」のキャスト
画像引用元:「グリーンブック」公式サイト
トニー・“リップ”・バレロンガ役(ヴィゴ・モーテンセン)
1958年10月20日生まれ。アメリカ合衆国ニューヨーク州出身。
映画「ロード・オブ・ザ・リング」アラゴルン役で世界的に有名な俳優となりました。
代表作は「ロード・オブ・ザ・リング」の他
「はじまりへの旅」「ザ・ロード」「イースタン・プロミス」など多数。
ドクター・ドナルド・シャーリー役(マハーシャラ・アリ)
1974年2月16日生まれ。アメリカ合衆国オークランド州出身。
2017年の映画「ムーンライト」フアン役でアカデミー賞助演男優賞を受賞。
映画「ハンガーゲームFINAL」ではボッグズ大佐役を演じていました。
ドロレス・バレロンガ役(リンダ・カーデリーニ)
1975年6月25日生まれ。アメリカ合衆国カリフォルニア州出身。
ドラマ「ER緊急救命室」の第10シーズンから登場する看護師の
サマンサ・タガート役で知られています。
映画「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」では
ホークアイの妻・ローラを演じていました。
「グリーンブック」の見どころ
画像引用元:「グリーンブック」公式サイト
気が合うはずのない2人が意外な関係に
トニーは、愛妻家で気のいいヤツではあるのですが…賭けもするし喧嘩っ早く、言葉遣いもとても丁寧と言えません。対して、彼の雇い主となったピアニストのドクは、知的で落ち着いており下品な言葉遣いを嫌う男性です。
このトニーとドクが車の中で2人っきりで、コンサートツアーの旅に出ます。が、お察しの通り…価値観が違う2人は全く噛み合いません。
序盤は行動や言動をドクに注意され、不満顔のトニー…というシーンが続きます。
でも、陽気でフランクな性格のトニーは、気難しいところのあるドクの心を少しずつこじ開けていくんです。また、ドクの方もトニーを信頼するようになっていきます。
当時のアメリカの人種問題も含まれていて、ちょっと切ない場面もありますが…そんな出来事も乗り越え、2人が友情を育んでいく過程は感動的です!
ドクの言葉に胸をうたれる
この作品は、アカデミー賞で作品賞を受賞していますが、制作国のアメリカでは、時代考証の面やトニーとドクの関係性といった点で賛否両論あったそうです。
しかし、ドクの終盤での告白は鋭く、胸を打つものがあり、この作品が作られ、世界中に公開された意味はあったのだと感じます。
ドクの告白には、黒人というだけでなく、弱者・マイノリティな立場の人間としての正直な思い、生き方に対する迷いや辛さが込められており、今の時代を生きる人達でも大いに共感できる内容となっているんです。
「グリーンブック」の感想
画像引用元: 「グリーンブック」公式サイト
妻への手紙
トニーは、外ではすぐカッとなって手を出してしまうことも多いのですが…。妻のドロレスと家族の前では、とても優しく愛情深い良き夫、良き父です。
それは、彼がドクとの旅に出た後も変わりません。「旅先から手紙を書いてほしい」というドロレスの頼みを聞いて、ちゃんと手紙を書くのです。
当時、既に電話はありましたが遠距離となると高額になってしまうため、トニーは旅の間、何度もドロレスに手紙を書いて自分達の近況を知らせます。
彼が書く手紙は、率直すぎて少々子どもっぽい文章で、学のあるドクが読めば苦笑いしてしまうような内容です。それでも、その手紙の中にはドロレス、子ども達への愛がいっぱい詰まっているのが分かります。
ドロレスも不器用な文の中にも彼の愛が込められていることを感じ取って、手紙が届くと子ども達の前で嬉しそうに読んで聞かせるのです。
トニーが何を書こうかと悩みながら手紙を書く様子、それを読むドロレスの幸せそうな表情を見ていると、心が温かくなります。
メールやスマホで手軽に連絡できるのは良いことですが、やっぱり愛を伝えるという場面では、手書きの手紙に勝るものはないなと再確認させられました。
理解と愛で人は変わることができる
トニーとドクは、お互いにある固定観念にとらわれています。
それは1960年代という時代のせいもありますが、もともとお互いに自分と違う人種と距離を置いていたというところが大きく影響しているように思います。
そのため、トニーは「黒人ならこれが好きでしょ?」「こういうもんだろ?」と安易に決めつけて、ドクを不快にさせることも…。
でも、ドクの方も「白人は黒人を理解しようとしない・下に見ている」「分かり合うのは無理だ」と信じ込んでいて、トニーに心を閉ざしているのです。
そのため、序盤ではお互いにぎこちない関係で、そういったお互いの誤解・決めつけからぎくしゃくしたり、トラブルに発展してしまう…という場面もありました。
しかし、トニーはドクの演奏を見たり、彼の弱い部分に触れ、彼を黒人のドクではなく「ドクという一人の人間」として理解していくようになります。
ドクも、そんなトニーと関わっていく内に、白人に限らず「他人」というものとの距離、関わり方を改めていくようになるのです。
世の中、誤解や凝り固まった思い込みを変えることは簡単なことではありません。
ですが、彼らやその周囲の人達の関係を見ていると、お互いを理解すること、愛し合うことで、変わるもの・変えられるものは確かにあると信じたくなるんです。
この作品には、そういった希望を感じさせられました。
「グリーンブック」のVOD配信情報
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