画像引用元 「花戦さ」公式サイト
2017年に公開された日本映画で、鬼塚忠さんの小説『花戦さ』の実写化作品です。映画『月とキャベツ』『天国の本屋〜恋火』などで知られる篠原哲雄さんが監督をつとめています。
「花戦さ」のあらすじ
画像引用元 映画「花戦さ」公式サイト

戦国時代、京都の中心部にある六角堂に、少し変わり者の花僧がいました。その僧の名は「池坊専好」。彼は、花を慈しむだけでなく、河原で亡くなった人の供養をして歩いたり、町の人々と交流しながら日々を過ごしていました。
あるとき、専好は上の者から岐阜の織田信長のところに向かい、花をいけるように言われます。他の僧達は、信長のことを恐れて嫌がったため、専好がその役目を押し付けられてしまったのです。
専好は「昇り龍」と称される信長をイメージして、大きく立派な松の木を菖蒲などの花とともに大胆にいけて見せました。松があまりに大きく重みがあったため、信長の観賞中に折れてしまうというミスはあったのですが…。信長の部下がうまく助言してくれたおかげで、幸い専好は信長の機嫌を損ねずに仕事を終えることができました。
それから12年後…。「執行」という役職につき、六角堂で一番偉い立場になっていた専好は、誰にも言えない悩みを抱えていました。
そんな専好に、ある人が声をかけます。それは、岐阜で信長のために仕事をしたときに出会った人物「千利休」でした。この再会をきっかけに、利休と専好はともにお互いの心の中を打ち明け合い、友人として交流を深めていくようになるのです。
「花戦さ」のキャスト
画像引用元 映画「花戦さ」公式サイト

野村萬斎(池坊専好役)
1966年4月5日生まれ。東京都出身。
狂言師として知られてますが、ドラマ・映画といった映像作品、
舞台などで俳優・演出家としても活躍しています。
代表作は、映画『陰陽師』(安倍晴明役)
『のぼうの城』(成田長親 /のぼう様役)ドラマ『あぐり』(望月エイスケ役)
『ドクターX〜外科医・大門未知子〜 第7シリーズ』(蜂須賀隆太郎役)など。
市川猿之助(豊臣秀吉役)
1975年11月26日生まれ。東京都出身。
歌舞伎役者として知られていますが、近年ではドラマ・映画などで
俳優として活躍しているほか、バラエティー番組にも出演しています。
代表作は、映画『超高速!参勤交代』(徳川吉宗役)
ドラマ『半沢直樹』(伊佐山泰二役)大河ドラマ『風林火山』(武田信玄役)
『龍馬伝』(今井信郎役)『鎌倉殿の13人』(文覚役)など。
中井貴一(織田信長役)
1961年9月18日生まれ。東京都出身。
現代が舞台のドラマ・映画以外にも時代劇にも数多く出演しています。
時代劇などで見せる重厚感ある演技だけでなく、
CMで見せる意外な表情、コミカルな演技も人気です。
代表作は、映画『壬生義士伝』(吉村貫一郎役)
『寝ずの番』(笑満亭橋太役)『記憶にございません!』(黒田啓介役)
ドラマ『雲霧仁左衛門』シリーズ(雲霧仁左衛門役)など。
「花戦さ」の見どころ
画像引用元 映画「花戦さ」公式サイトト

野村萬斎さんが主役の「いけばな」映画
この映画の主人公・池坊専好役を演じているのは、狂言師・野村萬斎さんです。陰陽師・安倍晴明役を演じたり、『シン・ゴジラ』のモーションキャプチャーでゴジラ役となったり、映像作品で個性的な役柄を演じることの多い野村さん。今回は、花を愛する池坊専好という僧侶を演じています。
池坊専好は、華道の流派「池坊」の初代といわれており、実在した人物です。映画では、飄々としてちょっと変わった雰囲気がありながらも、愛情深く心優しい人物として描かれています。
キリっとした真剣な目つき、困ったときに見せるコミカルな顔、相手を包み込むような温かな笑顔、慈愛に満ちたまなざしなど、野村さんがどの場面も表情豊かに演じており、「池坊専好」というはるか昔の人物をとても身近に感じられます。
また、そんな主人公の専好と同じくらい魅力的なのが、映画の中に登場する「いけばな」作品!大きな松を使った大胆なものから、野の花のいけばな、蕾がついた梅の枝だけをシンプルにいけたものまで、どれもとっても美しく、目も心も癒されます。
花僧があの秀吉と戦う!?
映画のタイトルに『戦』という文字があります。「花」と「戦」なんて対極にあるようなものに思えますが…実はこの映画の終盤では、主人公の専好と皆さんご存知のあの「豊臣秀吉」が戦うことになるんです!
花と人を愛する僧侶の専好が、天下人となった怖いもの知らずで傲慢な秀吉とどのようにして戦うのでしょう…。そしてその戦いの決着は、どういったものになるのか。
2人の戦いが描かれるのは終盤となりますが、専好と秀吉の関係は序盤から描かれています。2人の意外な出会いと関係、争いごとを嫌う専好が秀吉と戦わなければならなくなった理由に注目しながら、ご覧になってみてください。
「花戦さ」の感想
画像引用元 映画「花戦さ」公式サイト

池坊専好と千利休、幼なじみとの友情
私はいけばなにも、茶道にも詳しい方ではなく、千利休の名前を知っている程度で、池坊専好と千利休の関係すらも知らなかったのですが…。専好と利休に交流があったこと、また終盤の秀吉と専好のエピソードは、史実に沿った内容であるようです。
この映画の中では、千利休役を佐藤浩市さんが演じています。その利休と専好の友情が、とても印象的でした。
お互い「花」と「茶」と別の道の人間なのですが「どんなものでも、それぞれの美しさがある」という共通した考えを持っています。お茶をたてて専好の悩みを穏やかに包み込む利休、花をいけることで利休の思いに寄り添う専好。
2人の交わした言葉、友情を深めた過程などの細かい部分は創作ということになるんでしょうけれど…。野村さん、佐藤さんの自然な演技に説得力があり、「本当にこういう感じだったのかも」と思いながら、見ていました。
また、専好と、高橋克実さんが演じる専好の幼なじみ・吉右衛門との友情も温かく素敵でした。吉右衛門は「ある悩み」を持っている専好を子どもの頃からサポートしていて、大事な人を亡くし悲しむ専好にも、そっと寄り添うような優しさを持っています。専好の方も、吉右衛門を家族のように信頼していて、とても良い関係。
専好と利休、専好と吉右衛門のコンビが映るシーンは、それぞれ見ていて心が和みました。
どんなものにも「美しさがある」
専好は、慈愛に満ちていて、行き倒れていた少女を助けて面倒をみたり、河原で亡くなっている人のところに野花をそっと手向け、心を込めて念仏を唱えるような人です。
相手が高貴な人間だから、高価な花だから…なんて、つまらないことにはこだわりません。どんな人でも、どんなものでも、どんな花であっても「それぞれの美しさがある」と信じているんです。同じく利休も、飾り気のない黒い器であっても「美」を見出すことのできる人。
彼らのその価値観は、現代を生きている私達にも応用できる考え方だなと感じました。
SNSで気軽に「映える(ばえる)もの」「きれいなもの」「美しいもの」を目にすることができる世の中になっていますが、その反面、現代には自分に自信が持てない人、自己肯定感が低い人が多いといわれています。私自身も、そこまで自分に自信がある方でもありません。
ですが、この映画の「それぞれの美しさ」という言葉によって、登場人物達が自分自身を見つめ直すというシーンには、自然と心が動かされました。私のように自分に自信がないという方には、専好・利休の生き方、考え、言葉は特に深く響くものがあると思います。
コンプレックスという物は頑固で厄介で、なかなか素直に「自分には自分の美しさがある!」なんて認められないものですが…。野村さん演じる専好の言葉を繰り返し聞いていると、自分を含め「それぞれの美しさ」が持つパワーと可能性というものを信じてみたくなってしまいます。
「花戦さ」のVOD配信情報
画像引用元 映画「花戦さ」公式サイト

この作品は、U-NEXT(ユーネクスト)にて定額料で視聴できます。
AmazonPrimeVideo(アマゾンプライムビデオ)、dTV(ディーティービー)、TSUTAYA TV(ツタヤティービー)でも視聴は可能ですが、レンタル視聴となっています。