画像引用元 映画「いなくなれ、群青」公式サイト
河野裕さんの小説『いなくなれ、群青』シリーズを実写映画化した作品で、2019年に公開されました。監督は『今日という日が最後なら、』の柳明菜さん、主題歌を歌うのはSalyuさんです。
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「いなくなれ、群青」のあらすじ
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インターネットは利用できるのですが、外へメールを送ったり、なにかを発信することはできないという不思議な島『階段島』。高校生の七草は、なぜ自分がこの島にいるのか、いつまでここにいるのか、深く考えたことはありませんでした。階段島は、景色も住み心地もよく、島を出て行く必要性を感じていなかったのです。それは七草だけでなく、他の住人たちも同じでした。
突然、誰かが島にやってくるのと同じように、学校のクラスメイトが突然島から「消える」ことにもみんな慣れています。誰かが消えた直後は少し驚きながらも、すぐいつもの日常に慣れていくのです。
そんなある日のこと、また島に新しい住人がやってきました。
その新たな住人は、真辺由宇という高校生で、彼と同じクラスに入ることになったのですが…。彼女はクラスメイトや他の住人と違って、この島に住み続けることを望まず「なんでこんなところに連れて来られたの!?」「島を出たい!」と、担任の先生や七草たちに訴えます。
島の外で真辺と会ったことがあり、彼女のことを以前から知っていた七草は、彼女の性格もよく知っていました。そこで、彼女を納得させるため島のことや島に送られた人のことを話します。「ここは捨てられた人達の島だ」と。
しかし…彼女の「島を出たい」という気持ちは、七草の話を聞いただけではおさまりませんでした。やがて、真辺は七草の力を借りながら、島を出る方法を探し始めるのですが…。
「いなくなれ、群青」のキャスト
画像引用元 映画「いなくなれ、群青」公式サイト
横浜流星(七草役)
1996年9月16日生まれ。神奈川県出身。
初主演作品は、2015年の舞台『武士白虎 もののふ白き虎』。
代表作は特撮作品『烈車戦隊トッキュウジャー』
ドラマ『着飾る恋には理由があって』映画『愛唄 -約束のナクヒト- 』など。
飯豊まりえ(真辺由宇役)
1998年1月5日生まれ。千葉県出身。
2012年放送の『世にも奇妙な物語 '12春の特別編』がドラマ初出演作品です。
代表作は特撮番組『獣電戦隊キョウリュウジャー』
映画『暗黒女子』連続テレビ小説『まれ』など。
松本妃代 (水谷役)
1995年3月20日生まれ。兵庫県出身。
舞台、ドラマ、映画と幅広く女優として活動しています。
代表作は映画・ドラマ『映像研には手を出すな!』
『グッバイ筋肉!』など。
また女優の他に絵画アーティストとしても活動しており
過去に二度個展を開いています。
「いなくなれ、群青」の注目ポイント!
画像引用元 映画「いなくなれ、群青」公式サイト
青春ミステリー×ファンタジー
この作品を王道の青春物語だと思って見ると、少し驚くかもしれません。というのも、この映画は「階段島」という架空の島を舞台にしたお話で『魔女』まで登場するというちょっと変わった、ファンタジー要素のある青春映画なんです。
しかも、登場する「階段島」も、主人公の七草をはじめとする島の住人たちも謎だらけ!
『なぜ島の住人たちは、この島にやってきたの?』
『魔女は、どうしてこの島に多くの人を閉じ込めているのか?』
『魔女の目的は?』『島から出る方法は?』
『魔女のヒミツを落書きをした人は誰?』
こうしたいくつもの謎が、物語の中に散りばめられています。
七草や真辺と一緒にこれらの謎の答えを追うだけでなく、自分で考えながら見るというのもオススメです。
また見終わった後も、あれこれ想像を膨らませて楽しむことのできる作品でもあります。全体的に落ち着いていて静かな作品ですが、色々な楽しみ方、味わい方ができる奥深い映画です。
主人公・七草と真辺由宇の関係
平穏だった島にやってきた七草の知り合いの女子高生・真辺由宇。彼女は、他の住人やクラスメイトとは真逆の考えを持っていて、積極的に島の謎に迫るだけではなく、クラスメイトにも遠慮なくぶつかっていきます。
そんな真辺は島の中で完全に異質な存在なのですが、彼女が行動することによって、表向き問題なくやっていた人たちが本音を漏らしたり、意外な行動に出るというのがこの映画の面白いところなんです。
また、彼女の登場によって、主人公の七草がどういう人物なのかが明らかになっていきます。
七草は、主人公でありながら多くを語らず、表情も大きく動きません。そのため、見ている側は、七草という人間が本当はどういう人間か…というところが、最初はよく分からないんです。
でも、それは彼が秘密主義だからではありません。真辺と再会するまで、彼自身も、自分で自分のことをよく分かっていなかったということなんです。
七草と真辺が出会ったことで、島の住人だけでなく、主人公の七草、また2人の関係にどんな変化が起こるのか、ぜひ注目してみてください。
原作の雰囲気を大切にした透明感ある作品
画像引用元 映画「いなくなれ、群青」公式サイト
河野裕作品の魅力がそのまま映画に
河野裕さんの作品といえば『いなくなれ、群青』シリーズのほかに実家映画化・アニメ化された『サクラダリセット』も広く知られています。
河野さんの作品は、登場人物の言葉遣いや会話の間、世界観が独特なんですが、この映画ではそんな作品の空気を大事にしていて、良いところがまるごと実写化されていました。見ている間、自分も「階段島」の世界に入り込んだような、不思議な心地よさを感じるほど。
しとしと雨が降っている日に見ると、ミステリアスな作品の雰囲気と合って更に楽しめると思います。
真っすぐで純粋な人達が「捨てられた」理由
この映画は、青春真っただ中!という高校生が主役。どの子も真っすぐで、不器用だけど一生懸命で、純粋な子たちばかりです。島の住人である大人たちも穏やかに彼らのことを見守っています。
しかし、そんな一見問題ないように思える人々がどうしてこの島に「捨てられた」のか…。
ラストで、その理由が明らかになりますが、想像していた理由とは違っていて、驚かされました。『人間がいらなくなって捨てられた』という点にだけフォーカスすると、共感できる人は少ないでしょう。でも…実は彼らが捨てられた理由そのものについては、理解できる人も少なくないと思います。
見終わってからも余韻が残り、私も自分自身のことを振り返りながら、彼らの存在について、しみじみ考えてしまいました。
透明感があって美しい
階段島の景色、七草や真辺の通う学校や彼が住む三月荘の雰囲気は、すごく透明感があって、きれい!全体に青みがかったような映像や場面場面の光の入り方、揺らぎ方も美しく、どの瞬間を切り取っても絵になる感じがするんです。
また登場人物たちも、単に見た目が整っているだけではなく、みんな表情が瑞々しくて、どの人物もとても魅力的でした。
主演の横浜流星さんの静かな演技、飯豊まりえさん演じる真辺の真っすぐでハッキリしたキャラクター、真面目ながらちょっと不器用な学級委員長を丁寧に演じている松本妃代さんなど!登場した全員の良いところをあげていきたいくらい、どの方の演技も自然で、なおかつ映画の雰囲気にうまく染まっています。
ただ『見る』というより『味わう』という楽しみ方ができる映画です。
身を任せるように見ていると、映像、音楽、役者さんがそろって、この美しい一つの作品を作り上げているんだなっていうことが、じんわりと伝わってきます。
「いなくなれ、群青」のVOD配信情報
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